【MUPウサギWeek8】ブランディングの手法―商品を売りたいのであれば,商品を売るな

本稿の趣旨

 今の時代,商品の質で差をつけるのが難しくなっていたり,質に差があっても,違いが顧客に伝わりづらく,質の違いで他社に差をつけるが難しくなっています。

 そこで,ブランディングの重要性が説かれています。

 しかし,よくブランディングって言われるけど,ブランディングが何なのか,具体的に何をすればいいのか,よく分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 そこで,本稿では,そういった方に向けて,ブランディングの意義と手法についてご説明いたします。

 ブランディングを理解することで,同業他社から頭一つ抜けた存在になることができるでしょう。

ブランディングとは何か

 まず,ブランディングとは何なのか,そこを明確にする必要があります。

 ブランディングとは,自己商品の市場価値を高め,潜在的顧客から自己商品を好んで選んでもらえるようにするマーケティング戦略の一種であると定義することができます。

 要は,企業が自分磨きをしてモテモテになって,自分からお客さんに直接アピールしなくても,お客さんの方から寄ってきてくれるようにすることです。

 例を挙げると,ヘアカットの市場価格は,QBハウスが1,000円カットをやっている以上,1,000円です。

 単にカットを求めるだけなら,QBハウスに行けば十分だからです。

 しかし,ヘアカットの価格が5,000円でも繁盛している美容室はたくさんあります。

 なぜ髪の毛を切ってもらうのに,QBハウスではなく,わざわざヘアカット代の高い美容室に行くのでしょうか。

 その美容室の雰囲気がオシャレだから?
 その美容室の美容師さんとの会話が楽しいから?
 その美容室が良い香りのするアロマを使っているから?
 自分の属性と近い美容師さんが多く,自分の髪の悩み等を理解してもらいやすいから?
 特殊なヘアカットの技術を持った美容師さんがいるから?

 様々な理由があると思いますが,QBハウスにはない価値を感じているから,その美容室に行くのだと思います。

 この「QBハウスにはない価値」こそがブランディングの正体です。

 言い換えれば,ブランディングとは,髪を切るという本来的業務以外に顧客に提供されている付加価値のことです。

 この付加価値にあなたは差額の4,000円を支払っているのです。

ブランディングをやる意義

 ブランディングをやる意義については,同業他社と差別化を図ることにあるほか,広告やPR等の他のマーケティング手法と比較して,企業側から直接潜在的顧客に働き掛けを行わなくとも,潜在的顧客の方から寄ってきてくれるため,広告やPR等にかかる膨大な経費をカットすることができることにあります。

 また,逆にブランディングをやらないと,下図のような負のスパイラルに陥ることが指摘されています。

 すなわち,A社とB社が同様の商品を販売する場合,まず両者の間ではいかに低価格で販売するかという価格競争が起きます。

 そして,これ以上価格を下げるのが難しいっていう段階になると,一定個数以上購入すれば送料無料などといったサービス競争が起きます。商品に付随してサービスを提供することになると,コストが発生するため,利益率が低下します。

 そこで,企業は何とかコストを削減しようと努力するでしょう。このとき,真っ先に減らされる代表は,商品のプロモーションにかけているお金です。

 プロモーションのお金が減らされた結果,何が起きるかというと,市場での商品のシェアの低下であり,これにより潜在的顧客はこの商品に見向きしなくなってしまいます。

 それでも,何とかこの商品を売らなければならないので,また最初に戻って,企業は価格を下げることになります。

 こうした負の循環を繰り返し,企業が行き着く先は倒産です。

 そこで,こうした負のスパイラルに陥ることを防ぐために,価格競争等以外の方法で勝負しなければなりません。

 そして,この戦い方が,まさに「ブランディング」だというわけです。

ブランディングの手法

 ブランディングの重要性はご理解いただけたのではないかと思いますが,では,ブランディングはどうやって行うのか,そこが重要であり,皆さんの最も関心の高いところだと思います。

 ブランディングの手法には,大きく次の4種類あります。

  • コーポレートブランディング
  • プロダクトブランディング
  • マーケティングブランディング
  • セールスブランディング

 以下,これらについて,それぞれ説明していきます。

コーポレートブランディング

 コーポレートブランディングとは,企業の信頼を高めるブランディングのことです。

 以下に掲げるような要素で企業の信頼を高め,顧客獲得につなげます。

  • ホームページ
  • ロゴ
  • パンフレット
  • 代表者
  • 提携先
  • 資本金
  • 法務

 そして,コーポレートブランディングを行うにあたっては,競合他社を把握するが,競合を作らないようにすることも重要です。

 例えば,Googleは,その売上の約90%を広告から得ているため,紛れもない広告会社ですが,外向けには,広告会社ではなく,検索エンジンやGoogleマップ等を開発するテックカンパニーであると明言しています。

 こうすることで,他の広告会社と同じ土俵に立たないようにし,他の広告会社の広告と価格の比較をされることを回避しています。

 このように企業がメインで取り扱っている商品そのもの以外の強みをアピールすることで,その商品が同種の商品と同じ市場に並ぶことを回避することができ,価格競争が生じなくなるのです。

プロダクトブランディング

 次に,プロダクトブランディングとは,どういうものを売るかについてのブランディングです。

 商品の適正価格を把握した上で,以下に掲げるような要素に着目して,付加価値を加えていきます。

  • 価格
  • 材料
  • パッケージ
  • 雰囲気
  • デザイン
  • 希少性
  • 認可(ex.トクホ
  • 資格
  • 効果,効能

 ここで重要なのは,上記のとおり,(付加価値を度外視した)商品の適正価格を把握することです。

 ここを把握しなければ,いくら付加価値を加えようと,適切な価格設定ができないからです。

 例題として,次の商品の適正価格を求めてみてください。

 ある企業は,新製品のボールペンを販売しようと考えています。

 いくらで販売するかを決めるため,100人を対象にアンケートを行いました。その結果,次のことが明らかになりました。
・値段を500円まで引き下げると,100人全員が購入すると述べた。
・値段を1,500円まで引き上げると,100人全員が購入しないと述べた。

 なお,1本のボールペンを販売するのに,人件費や仕入れ原価等すべて含め,300円かかり,1人1本しか買わないとします。

 まず,かなり単純化された図ではありますが,次のような図を描くことができます。
 適正価格をaと仮定します。

 このようにして商品の適正価格を求め,これに付加価値相当額を上乗せしていきます。

 なお,付加価値の生み出し方は,次のとおり,大きく3通りに分類することができます。

  • 空間付加価値
  • 商品付加価値
  • サービス付加価値

 空間付加価値の例としては,店内の内装を変えること等が挙げられます。

 商品付加価値の例としては,高級な食材を使う等が挙げられます。

 空間付加価値や商品付加価値を上げるには,通常,プラスαの金銭的コストが発生します。

 これに対し,サービス付加価値は,例えば,お客さんの前で調理のパフォーマンスを披露したり,顧客のニーズ把握のため,顧客情報を集積し,顧客の再訪時に役立てるなど,それ自体,金銭的コストが発生しない付加価値の付け方です。

 したがって,サービス付加価値を中心に付加価値を付けていくとよいとされています。

マーケティングブランディング

 マーケティングブランディングとは,商品をどのように広めるかについてのブランディングです。

  • チャネル
  • ターゲット
  • メディア
  • 口コミ
  • SNS
  • キャッチコピー
  • ストーリー

 例えば,スターバックスコーヒーは,コーヒーを300円とか400円とかで提供しています。

 コーヒーそれ自体の市場価格は,マクドナルドが100円で提供しているため,100円です。

 では,なぜスターバックスは,コーヒを300円や400円で提供することができているのでしょうか。

 その理由の1つに,自社ブランディングを維持するために,フランチャイズで店舗を拡大するという方法を採らないことにして,販売チャネルでブランディングを行っているということが挙げられます。

 すなわち,フランチャイズの店舗を出すと,フランチャイジーの多くは,より多くの利益を出すため,客の回転率を上げようと,座席数を増やそうとします(マクドナルドが好適の例)

 そうすると,お客さん1人あたりに提供できるスペースが減少し,スターバックスコーヒーのお客さんにゆったりとしたくつろげる空間を提供するというコンセプトが損なわれてしまいます。

 そこで,スターバックスは,フランチャイズで店舗を拡大するという方法を採らず,ゆったりとしたくつろげる空間という付加価値をお客さんに提供することにして,コーヒーを300円や400円で提供しているのです。

セールスブランディング

 セールスブランディングとは,商品をどのようにして売るかについてのブランディングです。

  • 販売方法
  • 提携先選定
  • 顧客選定
  • 資料

 例えば,ヤマハは,単にピアノを買ってくださいと言っても,ピアノは高額ゆえ,なかなか買ってもらえないことから,まずピアノ教室を開き,生徒を集め,その生徒さんからピアノを買いたいと自然に言ってもらえるように,販売方法のブランディングを行っています。

まとめ

 最後に,以上のまとめを行いましょう。

  • ブランディングとは,簡単に言えば,企業が自分磨きをしてモテモテになって,自分からお客さんに直接アピールしなくても,お客さんの方から寄ってきてくれるようにすることです。
  • ブランディングは,商品のプロモーションにかかるコストをカットしたり,競合他社との価格競争に巻き込まれることによる負のスパイラルを回避するためにきわめて重要です。
  • ブランディングには,コーポレートブランディング,プロダクトブランディング,マーケティングブランディング,セールスブランディングがあり,それぞれの場面でブランディングを行えないか検討することができます。

 以上,最後まで読んでくださり,ありがとうございました!

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