著作物とは?

本稿のテーマ

 本稿では,「著作物って何?」という疑問に答えていきます。

 そもそも複製したり,公衆送信したりした対象物が「著作物」に当たらなければ,著作権侵害にならないため,「著作物」とはどういうものをいうのかを正確に把握しておくことは重要です。

 そこで,本稿で,何が「著作物」に当たるのかを勉強しましょう。

「著作物」の定義

 著作権法では,「著作物」は「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されています(著作権法§2Ⅰ①)

 そして,その具体例として,著作権法§10は次のものを挙げています。

  • 小説,脚本,論文,講演その他の言語の著作物
  • 音楽の著作物
  • 舞踊又は無言劇の著作物
  • 絵画,版画,彫刻その他の美術の著作物
  • 建築の著作物
  • 地図又は学術的な性質を有する図画,図表,模型その他の図形の著作物
  • 映画の著作物
  • 写真の著作物
  • (コンピュータ)プログラムの著作物

 もっとも,これらはあくまで例示であって,「著作物」はこれらに限られるものではありませんし,「著作物」の定義に当てはまれば,著作権や著作者人格権等の権利は発生します。

 そこで,上記の「著作物」の定義を深掘っていきましょう。

 「著作物」の定義は,大きく次の4つの要素に分解されて考えられています(言い換えれば以下の4つの要素を充たすものが「著作物」)

  • 思想又は感情
  • 創作的
  • 表現
  • 文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの

 以下,これらの要素について,具体的にみていきます。

思想又は感情

 「著作物」といえるためには,表現の対象が「思想又は感情」であることとされていますが,これは要するに,人の精神活動の結果,産み出されたものである必要があるということを表しています。

 したがって,人の精神活動とは関係のない単なるデータや歴史的事実等は,「著作物」に当たりません。

創作的

 次に,「著作物」といえるためには,表現が「創作的」であることが要求されていますが,これは要するに,著作者の何らかの個性が表れていることが必要だということを表しています。

 逆に,誰が創作しても同じような表現になる場合には,著作者の個性が表れているとはいえません。

 例えば,棒人間を描く場合,大体,皆,以下のような棒人間を描くと思うので,この棒人間には個性が表れているとはいえません。

表現

 「著作物」といえるためには,内心にとどまっていてはダメで,外部に表出されていなければなりません

 したがって,頭の中で思い付いただけであったり,作品の背景に存在しているだけの単なるアイデアは「著作物」には当たりません。

 なお,「外部に表出されている」といえるためには,録音や録画等によって何らかの媒体に固定されている必要はなく,単に発言したり,演奏したりする方法でも足ります。

文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの

 最後に「著作物」といえるためには,「文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」であることが要求されていますが,この要件はあまり厳密に捉えられていません。

 すなわち,広く知的・文化的な範囲に含まれていればよい,という程度に考えられています福井健策編『インターネットビジネスの著作権とルール〔第2版〕(CRIC・2020年)』55頁)

 したがって,地図やコンピュータプログラム等のように,文芸,学術,美術,音楽のいずれかに該当するかどうか,イマイチはっきりしないものについても,知的・文化的なものといえるため,「著作物」に含まれます(上記の著作権法§10の例示にも地図やコンピュータプログラムが挙げられています)

Please follow and like us:

コメント

タイトルとURLをコピーしました