【MUPウサギWeek18】貸借対照表(B/S)を理解する

本稿の趣旨

 本稿では,貸借対照表について解説します。

 貸借対照表は,「B/S」(Balance Sheetの略)とも呼ばれており,こちらの呼称の方が馴染みのある方もいらっしゃるかもしれません。

 貸借対照表は,財務諸表の1つであり,貸借対照表の内容を理解できることは,投資をやるにしても,事業をやるにしても,不可欠のスキルです。

財務諸表は,いくつかの財務関係書類の総称であり,財務三表と呼ばれる①損益計算書,②貸借対照表,③キャッシュフロー計算書が特に重要と言われています。

 ところが,読者各位の中には,貸借対照表等の計算書類に対して苦手意識をもっており,敬遠していらっしゃる方も少なくないと思います。

 しかし,安心してください。

 貸借対照表等の計算書類は,思っているほど難解なものではありません。

 本稿では,貸借対照表に焦点を当てて,苦手意識をもっていらっしゃる方でも,スッキリ理解できるよう説明していきます(その他の計算書類については,別稿で取り扱います)

貸借対照表の概要

 まず,貸借対照表がどういうものか,ざっくりとイメージをもっていただくことにしましょう。

 以下は,2018年10月1日から2019年9月30日までの1年間のPKSHA社の貸借対照表です。

 なお,この1年間の区切りのことを会計用語で会計期間といいます。一般に,事業年度と呼ばれることもあります。

 本稿をお読みになっている方であれば,このような計算書類をご覧になったことがある方は多いと思いますが,貸借対照表とは,会計期間の末日(=「期末」)時点で会社に存在する財産の状態や資金の調達と運用の状況を表す指標です。

 ところで,PKSHA社では,10月1日から翌年9月30日までの1年間を会計期間としていますが,4月1日から翌年3月31日までの1年間を会計期間とする企業が多いです。

貸借対照表の構造

 貸借対照表は右と左で分かれていて,右側が資金の調達状況を,左側が資金の運用状況を表しています。

 要するに,金融機関や株主等から資金を調達してきたら,右側にどのようにしていくらを調達してきたかを記載します。

 そして,調達してきた資金は,将来に備えて貯蓄したり,事業への投資に使ったり,有価証券を購入したり,様々な用途で用いられますが,調達資金が期末時点でどのように運用されているかを左側に記載します。

 調達資金を会社の財産として保有しているもののことを資産といいます。

 次に,右側は更に上下で分かれていますが,上側は負債を,下側は純資産を表しています。

 負債と純資産の違いは,返済の要否です。

 要するに,負債は返済が必要なものであるのに対し,純資産は返済が不要なものです。

資産の構造

 貸借対照表が左右に分かれていて,右側に負債と純資産に関する情報が,左側に資産に関する情報が記載されているところが分かったところで,それぞれのパートについて具体的にみていきます。

 まずは,「資産」からみていきます。

 資産のパートは,主に流動資産固定資産に分けることができます(他に繰延資産が計上されたりすることもありますが,ここでは一旦気にせず,進みましょう。)

 流動資産と固定資産の違いは,お金の回収スピードの差です。

 すなわち,1年以内に現金化する予定の資産を流動資産1年以内に現金化する予定のない資産を固定資産として分類しています。

 (現金のようにすでに現金化されて存在しているものも流動資産です。)

 現金化の時期について,1年を基準として,流動資産に分類するか,固定資産に分類するかを決するルールのことを「ワン・イヤー・ルール」(one year rule)と読んだりします。

 1年を超えて現金化する予定のものであっても,在庫商品のように営業活動でグルグル回っているものは全て流動資産に入れるという決まり(「正常営業循環基準」)があったり,例外もありますが,まずはワン・イヤー・ルールを押えておきましょう。

負債の構造

 次に,負債のパートをみていきましょう。

 負債のパートについても,資産と同様で,流動負債固定負債に分類することができます。

 そして,ここでもワン・イヤー・ルールが適用されます。

 したがって,流動負債は1年以内に返済しなければならない借金,固定負債は1年を超えて返済すれば足りる借金です。

純資産の構造

 最後に,純資産のパートをみていきましょう。

 純資産のパートは,大きくは株主資本それ以外とに分類することができます。

 株主資本は,資本金前年度の利益が余ったもの(利益剰余金)等です。

 一方,株主資本以外のものとしては,評価・換算差額新株予約権等があります。

まとめ

 以上をまとめると,基本的に下図のようになります。

 説明は以上になりますが,貸借対照表がどういう仕組みになっているか,イメージを掴むことができたでしょうか。

 もし質問等があれば,当サイトの問い合わせフォームTwitter質問箱),Instagram等で受け付けているので,お気軽にどうぞ!

Appedix

 補論として,ある会社が潰れそうか,潰れなさそうかを判断するための有用な視点を2つご紹介したいと思います。

 以下の2点です。

  • 流動比率がどれくらいか
  • 純資産がどれくらいあるか

流動比率がどれくらいか

 流動比率とは,以下の数式で表すことができる指標です。

 

 流動比率から,会社の短期的な財務の安全性が分かります。

 流動比率が高いほど,短期的な財務の安全性が高いといわれています。

 要は,すぐにお金を回収できる資産が,すぐに返済しなければならない資産よりも多ければ多いほど(=賞味運転資本が多いほど),その会社はしばらくは潰れないということです。

 我が国の企業においては,流動比率が150%以上あれば,ひとまず安全と評価されているようです。

純資産がどれくらいあるか

 また,純資産は,返済不要の資金なので,純資産が多ければ多いほど,財務の安全性が高いといえるでしょう。

ダイキン工業の連結貸借対照表を素材として

 子会社や関連会社等の企業集団全体の資金や資本の状況を表した貸借対照表のことを連結貸借対照表といいますが,ここでダイキン工業の連結貸借対照表を検討してみたいと思います。

 まず,流動比率からみていくと,流動負債が約7,700億円であるの対し,流動資産は約1兆3千億円あります。

 したがって,流動比率は,約171%(=1,317,605,000,000÷768,815,000,000×100)であり,150%を優に超えているので,短期的な財務の安全性は高そうです。

 また,純資産も1兆4千億円以上あり,ダイキン工業の事業の規模は大きいですが,当面大丈夫な蓄えがあるといえそうです。

 ざっくりとですが,ダイキン工業は,財務の安全性が高そう(潰れなさそう)だなと結論付けることができます。

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