【第1回】「景品類」とは何か?―景表法(景品類)の全体をざっくりと把握する

 景表法の景品類規制について、短時間でざっくり全体像を押さえることができるように整理していきます。詳細な解説は後記の参考文献に掲載の文献等に譲ります(いつか別の機会に掘り下げた記事を書くかもしれません。)。

   第1回 「景品類」とは何か?

   第2回 規制の種類・内容

 第1回は、「『景品類』とは何か?」というテーマを取り扱います。

定義

「景品類」とは、

  1. ① 顧客を誘引するための手段として
  2. ② 事業者が
  3. ③ 自己の供給する商品又は役務の取引
  4. ④ に付随して
  5. ⑤ 相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益

である[1]

各要件の判断方法

①「顧客を誘引するための手段として」

 その経済上の利益が顧客誘引のための手段になっているかどうかを客観的に判断する。

②「事業者が」

 営利目的の有無を問わず、経済活動を行う者すべてが「事業者」に該当する。

③「自己の供給する商品又は役務の取引」

 事業者が製造し、又は販売等する商品・役務についての、最終需要者に至るまでのすべての流通段階における取引が含まれる。

 ただし、製造工程を経た結果で原材料と最終製品が別種の商品と認められるようになった場合は、最終製品の取引は、原材料の供給者からみて、通常「自己の供給する商品の取引」に当たらない。

④「に付随して」

 経済上の利益の提供が、顧客の購入の意思決定に直接結びつく可能性のある形で行われている場合は、「付随して」に当たる。

⑤「相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益」

 提供を受ける者の側からみて、通常、経済的対価を支払って取得すると認められるものであれば、「経済上の利益」に当たる。

景品類に該当しない例外

 ただし、上記要件を充たすものであっても、次のものは景品類の提供に該当しない[2]

  • 正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益
  • 正常な商慣習に照らしてアフターサービスと認められる経済上の利益
  • 正常な商慣習に照らして当該取引に係る商品又は役務に付随すると認められる経済上の利益

 値引きやアフターサービス、付属物・付属サービスであれば、すべて景品類に該当しないということではない。それらのうち、商品・サービスの特徴、その経済上の利益の内容、提供方法等を勘案して、一般消費者による自主的・合理的な選択の確保を阻害しないものに限り、景品類の該当性が否定される。

参考文献


[1] 景表法2条3項・定義告示1項・定義告示運用基準。

[2] 定義告示運用基準。

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