【民裁起案】起案の型

 以下でお示しする民裁起案の型は ,講評後に起案を書き直し,教官にみてもらってOKをもらったものなので,参考になるかと思います。

 ただし,修習期によって,「このように書くべし」という起案のスタイルは変動する可能性があることをご了承ください。

 

主張整理に関する設問

第1 小問(1) [※ 要件事実を整理させる問題]

 1 要件事実

  (1) 請求原因

   (あ) 原告は,被告に対し,平成〇年〇月〇日,別紙物件目録記載の土地(以下,「本件土地」という。)を,代金〇万円で売った。

   (い) …

  (2) 抗弁

   ア 抗弁①―旧債務の不存在

    (カ) …

   イ 抗弁②―相殺

    (キ) …

  (3) 再抗弁―免除(抗弁②に対し)

※ 抗弁が複数ある場合にはどの抗弁に対する再抗弁なのかを明示する。

   (さ) …

 2 主張自体失当と考えて記載しなかった主張と主張自体失当と考えた理由

  …(特にそのような主張がなければ,「特になし。」でOK)

第2 小問(2) [※ 争点を挙げさせる問題]

 (あ)(い)(カ)(さ)の各事実

※ 争点とは,否認された又は不知とされた主要事実。したがって,ここでは,否認又は不知の主要事実を全て摘示する。

事実認定に関する設問

1 争点の分析

 本件の争点は,前述のとおり,(あ)(い)(カ)(さ)の各事実である。

 まず,(あ)と(い)については,(あ)を否認しているから,(い)も否認しているという関係にあるため,(あ)について判断すれば,(い)についても判断することができる。したがって,主たる争点は,(あ)である。

 そして,(あ)は請求原因,(カ)は抗弁,(さ)は再抗弁であるから,(あ)→(カ)→(さ)の順に判断する。

2 各争点の検討

 (1) 請求原因(あ)

  ア 判断枠組み

※ ジレカン記載の4類型のいずれに該当するかをまず論述。

   まず,本件において,直接証拠である類型的信用文書は存在しない。

   次に,直接証拠である供述証拠については,原告の供述(甲5-10(2),原告25~32)が存在する。そのため,以下では,当該供述の信用性を検討する。

  イ 検討

   (ア) 事前の事情

    a 本件契約の動機   

※ 重要な着眼点を定め,それに沿って,積極・消極問わず,事実を認定していく。

     (a) 認定事実

      ㋐ 被告は,平成〇年〇月〇日当時,無職であり,特にみるべき資産もなかった(争いなし)。

      ㋑ …

     (b) 意味づけ

      ㋐~㋒によれば,…であるようにも思われる。

      しかし,㋓・㋔によれば,…。

※ 意味づけの思考過程としては,一般に,”❶積極的間接事実又は補助事実の分析→❷経験則・論理則の適用→❸経験則等の本件への適用→❹当該間接事実等が要証事実を推認させることの摘示→❺消極的間接事実等の分析→❻反対仮説の摘示→❼反対仮説の成立可能性の検討→❽積極的間接事実等の推認力の評価”になるが,間接事実等が結論に影響を与える大きさ,間接事実等と要証事実との距離等に照らして論述量にメリハリをつけることが重要。全部フルスケールで論述していると,普通,時間足りなくなる。

    b …

   (イ) 本件契約当時の事情

    a 契約内容の合理性

     (a) 認定事実

      ㋗ …

      …

     (b) 意味づけ

      …

    b 契約書の不存在

     …

    c …

   (ウ) 事後の事情

    a Eメールでのやりとり

     …

    b …

  ウ 総合評価

   …なので,(あ)の事実は認められる。

   そして,(あ)が認められるのであれば,前述のとおり,(い)も認められる。

※ 要証事実が高度の蓋然性をもって認められるかを判断する。

 (2) 抗弁(カ)

  …

 (3) 再抗弁(さ)

  …

3 結論

 請求原因は全て認められるが,一部抗弁(相殺)が認められ,再抗弁(免除)は認められない。したがって,原告の請求は,相殺の抗弁における金額を控除した限度で一部認められる。

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 事実認定の判断枠組みを知りたい方は,下掲のページもご覧ください。

 上記の「認定事実」で摘示すべき事実は,いわゆる「動かし難い事実」であるところ,この「動かし難い事実」の認定方法については以下のページをご覧ください。

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