刑裁起案はA評価をとり,事実認定起案に関し,教官からも「おおむねできています。」との評価をいただきました。さらに,教官や裁判官の講評や他のA評価起案から多くを学ばせていただきました。以下では,私が実際に起案で依拠していた,実務修習中,判事補の先生から教わった事実認定起案の型を紹介させていただきたいと思います。
第1 結論
争点に対する結論を簡潔に示す。
第2 争点及び判断構造
1 争点の把握
Pの主張等から争点を把握する。
2 判断構造
※ 以下は間接事実型の場合を前提とする。
第3 争点①についての判断過程
1 積極的間接事実についての検討
(1) 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(間接事実①)。
※ 被告人や証人等の供述から間接事実を認定する場合,「認定根拠」の項で供述の信用性を検討してもよいし,間接証拠に掲げる供述が多い場合は,別途まとめて供述の信用性を検討する項を設けてもよい(※ 以下は後者に従った型)。
ア 認定根拠
甲〇から,◇◇◇◇◇◇◇◇◇という事実を認定することができる。
甲△から,……
イ 意味合い
上記間接事実の分析
↓
経験則
↓
経験則の本件へのあてはめ
↓
結論(間接事実から要証事実が推認できる)
(※再間接事実から間接事実への推認などもここで行う)
ウ 重み
反対仮説の摘示(「Not 要証事実」を推認させるもの)
↓
反対仮説の成立可能性の検討
↓
間接事実の推認力の評価
(強く推認させる/一定程度推認させるにとどまる/推認力は弱い など)
(2) 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(間接事実②)。
(略)
(3) (略)
(4) (略)
(5) 供述の信用性
ア 〇〇供述
(ア) 供述の概要
供述者の一連の供述全てを要約・摘示するのではなく,前記間接事実の認定に用いた供述部分だけを要約して摘示する。
(イ) 信用性検討
…
イ 〇〇供述
(略)
(6) 小括
…
※この段階で要証事実を認定できないのであれば,以下の2~4の検討は不要。
2 消極的間接事実
(1) 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(消極的間接事実①)。
ア 認定根拠
…
イ 弾劾となる理由
積極的間接事実の検討でいう意味合い的なもの
(どういう経験則・論理則が適用される結果,当該消極的間接事実が「Not 要証事実」を推認させ,前記積極的間接事実の要証事実に対する推認を妨げるのか。)
(2) 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(消極的間接事実②)。
(略)
3 被告人供述の信用性の検討
(1) 供述の概要
…
(2) 信用性の検討
…(これまで検討してきたことと重なることが多い)
4 総合考慮
争点について合理的疑いを超える証明がなされているか。
第4 争点②についての判断過程
(略)