仕事のミスをなくすアイデア

はじめに

 私は仕事でしばしばミスをします。

 恐らく皆さんも仕事でミスをして,「なんでこんな簡単なことすら,自分はミスなくやれないんだ…」と悔しい思いをしたことがあるのではないでしょうか。

 ミスをすることで余計な仕事が増え,かえって仕事のスピードが遅くなってしまいます。

 真の業務効率化はミスをなくす・減らすことなくしては実現できないといってよいでしょう。

 そこで,本稿では,仕事のミスを減らす工夫として,現在,私が取り入れているアイデアや良いなと思っているアイデアを紹介してみたいと思います。

業務マニュアルの作成

 まずは”業務マニュアルの作成”です。

 仕事では非常に多くのことを覚え,それに基づいて業務を遂行しなければなりません。

 しかし,私のような普通の人がすべてを記憶することは不可能であり,しなければならない仕事をうっかりやり忘れてしまうこともあるでしょう。

 そこで,記憶の負荷を減らすとともに,仕事のし忘れを防ぐために,業務マニュアルないしチェックリストを作成することが有効です。

 すでに職場に業務マニュアルが用意されており,それが自分にフィットするのであれば,それを活用すればよいですし,職場に業務マニュアルが用意されていなかったり,用意されていても,自分にフィットしないような場合は,自分で業務マニュアルを作成するとよいと思います。

 自分で業務マニュアルを作成することで,当然仕事のミスも減らせますし,業務に対する理解も深めることができます。

 ちなみに,下掲の「契約書案形式面チェック表」は,契約書案の形式面でのミスのチェックのし忘れを防ぐための工夫として,私が作成したものの1つであり,実際の業務でも活用しています。

情報の一元化

 情報が様々な箇所に分散していると,目的の情報がどこにあったか分からなくなったり,そもそもその情報の存在を忘れてしまうことがあります。

 どこにあるか分からない情報はないのと一緒です。

 したがって,情報を一元化管理できる仕組み作りが重要です。

 業務効率化の観点からは,検索性が高いとなお良いでしょう。

身辺整理

 デスクの周りといった自分の活動領域が散らかっていると,どこに何があったか分からなくなったり,必要な文書や資料等の存在を忘れたり,仕事のミスにつながります。

 また,目的の文書や資料等を探すのに時間がかかってしまうという点でも,業務の効率を下げてしまいます。

 一般的なビジネスパーソンは書類探しに年間150時間もの時間を費やしているとの報告もあるそうです。

 書類探しという非生産的な活動に貴重な人生の時間を奪われないためにも,文書や資料等をファイルに整理するなど,自身の身辺はこまめに整理しておく必要があります。

不要になった文書やファイルの処分

 日々の業務では多くの文書やファイル等が作成され,放っておくとどんどん山のように溜まっていきます。

 そうすると,本当に必要な文書やファイル等が不要物の山に埋もれ,見つけることが困難になっていきます。

 したがって,不要になった文書やファイル等は処分し,本当に必要な文書やファイル等が不要物に埋もれてしまわないようにすることが重要です。

 その文書やファイル等が一定期間保管が命ぜられている場合等,処分することができない場合は,既済文書等の避難用フォルダを作成し,その中に避難させておくとよいでしょう。

付箋での予定管理

 次に,やらなければならないこと(To Do)を紙の付箋で管理するというものです。

 具体的には,次の方法で管理を行います。

  • 付箋1枚あたり1個の予定を簡潔に記載する。予定の要旨,期限等を記載することが考えられる。
  • PCやデスク等,自身の身の回りにこの付箋を貼り付けておく。
  • 付箋に記載されている予定が完了したら,その付箋をゴミ箱に捨てる。

 最近は,アプリやソフトウェア等でTo Doを管理することもできますが,紙の付箋でTo Doを管理することには,①To Doがあとどれくらいあるのか,可視化しやすい,②その付箋記載のTo Doをやり終えたときに,その付箋を捨てる爽快感は格別などといったメリットがあります。

 特に,自分は②のメリットを気に入って,紙の付箋を活用しています。

Eメールやチャット等を活用した認識の共有化

 ある仕事について,これから取り組む必要がある事柄や課題が生まれ,また,様々な要因によってそれらが変化することがあります。

 そこで,その都度,Eメールやチャット等を利用して,発生した課題等やその変化等を関係者に共有し,相互に確認することで,仕事のミスを減らせると思います。

 自分だけかどうか分かりませんが,特に仕事に慣れない頃は,口頭で一気に多くの事柄の説明を受けても,なかなか全部覚えられないし,一応聞いたものの,本当に自分の認識で合ってるのかなと自信をもてないことが多々あります(そもそも何を言ってるのか理解すらできないことも少なくない)。

 そこで,Eメールやチャット等を活用して,認識の擦り合わせを行うのです。

 この方法を活用することには,次のようなメリットがあると考えています。

  • 関係者間で認識を共有できる。
  • 万一予定を忘れた場合でも,後で見返すことができる。
  • 記録として視認可能な状態で今後の課題等が残っているため,その方針の妥当性を後から検証しやすい。
  • 今後,再び同様の仕事をしなければならなくなったときに,その記録が有用な資料となる。

 上司とか先輩社員とかは,特に何のメモをしなくても,現状や今後の課題等について,スッと頭に入っているようですごいな~と思うのですが,自分には無理なので,色々苦しみ,悩んだ結果,少し面倒ですが,以上の方法を採ることにしました。

情報の構造化

 マインドマップ等を活用して,情報を構造化することで,思考が整理され,情報が腑に落ちるため,ミスを減らすことができます。

 この方法は,ビル・ゲイツも取り入れている方法だそうです。

 マインドマップを手軽に作成できるツールとしては,「X Mind」がオススメです。

Xmind のマッピングソフトウェア
Xmindは、仕事とライフスタイル両方の効率化を図るため、アイデアを生み出し、創造性を刺激するように設計された、マインドマッピングおよびブレーンストーミングツールです。

 このX Mindは,私が司法修習生だった頃,配属されていた検察庁の総務部長に教えていただき,現在に至るまで愛用させていただいております。

 ちなみに,X Mindには,有料版もありますが,無料版でも十分すぎるくらいの機能が使えるので,是非無料版を試してみてください。

テクノロジーの活用

 例えば,Excel等でデータ入力を行う場合,人間が手動でデータを入力していると,入力した数値の間違えといったヒューマンエラーが生じるため,関数マクロを活用することでこうしたミスを減らせます。

 また,Wordによる文書作成における誤字・脱字の発見に関しては,「スペルチェックと文章校正」の機能を使うことも考えられますね。

 そして,最近であれば,AIの技術も充実してきているので,AIを活用することが考えられます。今後は益々技術が発展し,恐らくAIを活用するかどうかで業務効率に天と地ほどの差が生まれることになりそうです。

期限を明確にし,余裕をもって終わらせ,一晩寝かせる

 仕事の期限を明確にし,そこから逆算して,余裕をもって終わらせ,それを一晩寝かせてから,改めて自分でチェックし直すということも考えられます。

 仕事を終わらせたのと同じタイミングにチェックし直しても,なかなかミスに気付きにくいですが,一晩寝かせてから改めてチェックすることで,今日の自分は昨日の自分と違うと言いますか,ミスに気付きやすくなります

 能力不足というのもありますが,まだまだ期限を明確にして,逆算するということができていないので,自分はまだこれを実践できていないのですが,仕事の期限を明確にし,期限から予定を立てるという逆算思考を大事にしていきたいなと思います。

 ちなみに,このノウハウは,私が大学院時代にお世話になっていた裁判官の仕事法からアイデアをいただきました。

 その裁判官は判決日の1週間前には判決書を書き終え,その前日か前々日に改めて,その判決書を見返すそうです。

 数日というスパンでやり終えなければならない仕事も多いため,なかなか1週間前に仕事を一通り完成させておくということは難しいですが,期限直前に駆け込みで仕事を終わらせるということがないようにスケジュール管理はしっかりできるようにしたいものです。

すぐ終わらせられることはその場ですぐに終わらせる

 確かに,ある程度時間を置いて,慎重に検討した方がよい仕事もある一方で,すぐに終わらせることができる簡単な仕事もあるはずです。

 そういった仕事はその場で即行で片付ける方がよいというのが持論です。

 というのも,ものの数分で終わらせることができる仕事について,タスク管理のためにTo Doリスト等に書き加えたりする時間があるなら,その時間でその仕事を片付けた方がいいですし,また,マルチタスクというのは,基本的に頭を混乱させる原因になります。

 脳に負荷をかけないためにも,すぐできる簡単な仕事はその場ですぐ終わらせ,抱えている仕事の絶対数をむやみやたらに増やさない方がいいと思います。

自分がミスする箇所の傾向分析

 自分がしたミスや,次はどうすればよいかという対策をメモしておくことも有効です。

 これはよく司法試験受験生時代にやっていました。

 答練等で間違えた箇所については,どこを間違えたのか,なぜ間違えたのか,次はどうすればその間違えを防げるのかを分析し,次,同様の局面に出くわしたときに自分がとるべき行動をノートにまとめていました。

 こうすることで,ミスしたことを忘れ,同じミスを繰り返すこともなくせますし,自分の犯しがちなミスに対してアンテナを張ることもできます。

思い込みを捨てる

 仕事を素早く終わらせる必要がある場合,ついEメールや文書等の記載内容をしっかり読まずに,思い込みで行動してしまい,結局,思い違いがあって当てが外れ,余計な仕事を増やしてしまうことがあります。

 自分の場合,この思い込みのパターンでのミスが多いです。

 これに関しては,当たり前のことですが,Eメールや文書等の記載内容をしっかり読み込んで,分からないことがあったら,他の関係者に確認するしかないように思います。

 急いでいると,Eメールや文書等を読むのをすっ飛ばしたくなりますが,長い目で見たとき,これらを今しっかり読むことが最速で仕事を終わらせることにつながるという意識をもつことが大事で,その意識の有無で自身の行動も変わってくるのではないかと思います。

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