【2020年民法改正】意思能力【勉強ノート】

改正の概要

意思能力に関する規定の新設

旧法 新法
規定なし 【3条の2】
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは,その法律行為は,無効とする。

 従来から,意思能力を有しない者がした法律行為は無効になると解されており,判例においてもこの解釈は採用されていました(大判明治38年5月11日)。今回の改正では,分かりやすい民法を実現すべく,この解釈が明文化されました。

意思能力の意義

 意思能力の意義については,従来より,主に,①意思能力を「事理弁識能力」であると解して個別具体的な法律行為の内容にかかわらず一律にその存否が判断されるとする考え方と,②個別具体的な法律行為の内容に即してその存否が判断されるとする考え方が主張されていました。

 今回の改正でも,いずれの立場に立つべきか,決着をみておらず,引き続き解釈に委ねられることになりました。

意思能力の基準時

 意思能力の有無をいつの時点を基準として判断すべきかという点については,新法§3の2からも明らかなように,「意思表示をした時」です。

無効主張権者

 無効主張権者の範囲は明文化されていませんが,意思無能力者側からのみ主張できると解されています(相対的無効)。

 したがって,例えば,意思能力を欠く高齢者がした法律行為について,当該高齢者のほか,その親族も当該法律行為の無効を主張することができますが,当該法律行為の相手方からはその無効を主張することはできません。

要件事実

 意思無能力による法律行為の無効を主張する側が,当該法律行為の当時,意思無能力であったことを基礎付ける評価根拠事実について主張立証責任を負います

 人は,原則として権利能力を有し(新法§3),法律行為は,無効原因がない限りは有効であると考えられているためです。

確認問題

 特になし。

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