【2020年民法改正】代理【勉強ノート】

代理行為の有効性

変更点

旧法 新法

【101条】(代理行為の瑕疵)
1項:意思表示の効力が意思の不存在,詐欺,強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には,その事実の有無は,代理人について決するものとする。

2項:特定の法律行為をすることを委託された場合において,代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは,本人は,自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても,同様とする。

【101条】(代理行為の瑕疵)
1項:代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在,錯誤,詐欺,強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には,その事実の有無は,代理人について決するものとする。

2項:相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には,その事実の有無は,代理人について決するものとする。

3項:特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは,本人は,自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても,同様とする。

【102条】(代理人の行為能力)
代理人は,行為能力者であることを要しない。
【102条】(代理人の行為能力)
制限行為能力者が代理人としてした行為は,行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし,制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については,この限りでない。

説明

1 民§101

 代理行為の瑕疵の有無は代理人によるとした旧法§101Ⅰに関して,瑕疵ある意思表示を代理人がした場合と相手方がした場合とで区別して規定を設け,意思の不存在や錯誤等については飽くまでも意思表示を代理人がした場合にのみ代理行為の瑕疵として問題となるようにしています(新法§101Ⅰ・Ⅱ)。

 また,本人が特定の法律行為を代理人に委託した場合について,判例(大判明治41年6月10日)に従い,代理人がした行為が本人の指図に従った(旧法§101Ⅱ)ものであったかどうかにかかわらず,本人が自ら知っていた事情については代理人が知らなかったことを主張することができないなどとしています(新法§101Ⅲ)。

2 民§102

 新法§102前段は,旧法§102を分かりやすい表現に改めたものです。

 その上で,新法§102後段で例外を設けています(これに関連し,新法§13Ⅰ⑩や新法§17Ⅰ但,新法120Ⅰについても必要な改正が加えられています)。この例外規定は,制限行為能力者が代理する本人である制限行為能力者を保護するものです。

 なお,制限行為能力者が本人である制限行為能力者を代理してした行為の取消しの根拠規定は,新法§102但ではなく,成年被後見人は新法§9本文,被保佐人は新法§13Ⅰ・Ⅳ,被補助人は新法§17Ⅰ・Ⅳです。

代理人及び復代理人の権利義務

変更点

旧法 新法

【105条】(復代理人を選任した代理人の責任)
1項:代理人は,前条の規定により復代理人を選任したときは,その選任及び監督について,本人に対してその責任を負う。

2項:代理人は,本人の指名に従って復代理人を選任したときは,前項の責任を負わない。ただし,その代理人が,復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら,その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは,この限りでない。

【106条】(法定代理人による復代理人の選任)
法定代理人は,自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において,やむを得ない事由があるときは,前条第一項の責任のみを負う。

【105条】(法定代理人による復代理人の選任)
法定代理人は,自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において,やむを得ない事由があるときは,本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

【107条】(復代理人の権限等)
1項:復代理人は,その権限内の行為について,本人を代表する。

2項:復代理人は,本人及び第三者に対して,代理人と同一の権利を有し,義務を負う。

【106条】(復代理人の権限等)
1項:復代理人は,その権限内の行為について,本人を代表する。

2項:復代理人は,本人及び第三者に対して,その権限の範囲内において,代理人と同一の権利を有し,義務を負う。

説明

1 復代理人の責任(新法§105)

 旧法§105は削除されました。任意代理人が復代理以外の方法で第三者を用いる場合にはその責任が軽減(限定)されないことと均衡を欠くからです。これにより,任意代理人は債務不履行責任の一般原則に従って責任を負うことになります。具体的には,任意代理人は,本人との間の委任契約等に基づいて必要となる事務処理がされていなかったことによる責任を原則として負うことになります(当事者間に何らかの合意があれば,それによります)。

 これに対し,新法§105は,旧法§106と同旨の規定であり,特段変更はありません。

2 復代理人の権利義務(新法§106)

 新法§106Ⅱに「その権限の範囲内において」という文言が追加されています。これは,復代理人の権利義務について,その範囲が必ずしも代理人と同一ではないことを文言上も明確にするためです。

代理権の濫用・利益相反行為

変更点

1 代理権濫用

旧法 新法
規定なし 【107条】
代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において,相手方がその目的を知り,又は知ることができたときは,その行為は,代理権を有しない者がした行為とみなす。

2 利益相反行為

旧法 新法
【108条】
同一の法律行為については,相手方の代理人となり,又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし,債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については,この限りでない。

【108条】
1項:同一の法律行為について,相手方の代理人として,又は当事者双方の代理人としてした行為は,代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし,債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については,この限りでない。

2項:前項本文に規定するもののほか,代理人と本人との利益が相反する行為については,代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし,本人があらかじめ許諾した行為については,この限りでない。

説明

1 代理権濫用

 判例(最判昭和42年4月20日)の趣旨を踏まえ,新法§107が新設されました。代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において,その行為の相手方がその目的を知り,又は知ることができたときは,その行為は無権代理行為とみなされます。したがって,代理権濫用行為が本人にとって有利なものであれば,本人は当該代理権濫用行為を追認することができますし(新法§113,116),また,代理権を濫用した代理人は,行為の相手方に対し,無権代理人の責任(新法§117)を負うこともあります。

2 利益相反行為

 判例(最判昭和47年4月4日,大判昭和7年6月6日)の趣旨を踏まえ,自己契約及び双方代理について,その効果は無権代理行為擬制であることを明確化するとともに(新法§108Ⅰ),これら以外の利益相反行為についても,本人があらかじめ許諾したものを除き,無権代理行為とみなす旨の規定を新設しています(同条Ⅱ)。

要件事実

1 代理権濫用

2 利益相反行為

 準備中。

無権代理

変更点

旧法 新法
【109条】(代理権授与の表示による表見代理)
第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は,その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について,その責任を負う。ただし,第三者が,その他人が代理権を与えられていないことを知り,又は過失によって知らなかったときは,この限りでない。

【109条】(代理権授与の表示による表見代理等)
1項:第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は,その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について,その責任を負う。ただし,第三者が,その他人が代理権を与えられていないことを知り,又は過失によって知らなかったときは,この限りでない。

2項:第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は,その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において,その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは,第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り,その行為についての責任を負う。

【112条】(代理権消滅後の表見代理)
代理権の消滅は,善意の第三者に対抗することができない。ただし,第三者が過失によってその事実を知らなかったときは,この限りでない。

【112条】(代理権消滅後の表見代理等)
1項:他人に代理権を与えた者は,代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について,代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし,第三者が過失によってその事実を知らなかったときは,この限りでない。

2項:他人に代理権を与えた者は,代理権の消滅後に,その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において,その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは,第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り,その行為についての責任を負う。

【117条】(無権代理人の責任)
1項:他人の代理人として契約をした者は,自己の代理権を証明することができず,かつ,本人の追認を得ることができなかったときは,相手方の選択に従い,相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。

2項:前項の規定は,他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき,若しくは過失によって知らなかったとき,又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは,適用しない。

【117条】(無権代理人の責任)
1項:他人の代理人として契約をした者は,自己の代理権を証明したとき,又は本人の追認を得たときを除き,相手方の選択に従い,相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。

2項:前項の規定は,次に掲げる場合には,適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし,他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは,この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

説明

1 民§109

 民§109・民§110の重畳適用に関する判例(最判昭和45年7月28日)法理を踏まえた新法§109Ⅱが新設されました。

2 民§112

 民§109・民§112の重畳適用に関する判例(最判昭和32年11月29日)法理を踏まえた新法§112Ⅱが新設されました。

3 民§117

 無権代理人の責任に関して,無権代理人と取引の相手方の公平を図るため,無権代理人が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったときであっても,無権代理人が自己に代理権がないことを知っていたときは,無権代理人は新法§117Ⅰの規定による無権代理人の責任を負うとしています(新法§117Ⅱ②但)。

 また,代理権の存在又は本人の追認を得たことの主張立証責任は無権代理人の責任を免れようとする無権代理人の側にあることがより明瞭になるよう条文の表現を改めています(新法§117Ⅰ)。

要件事実

1 民§109Ⅱ

2 民§112Ⅱ

3 民§117

※ 表見代理の成立は,無権代理人に対する請求の抗弁にはなりません(最判昭和33年6月17日)。

確認問題〔代理〕

「代理」に関する問題を出題します(全5問)!

※ 新法に基づいて回答してください!

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