【契約実務】〔売買基本契約書〕引渡しに関する条項の修正

 本稿では,次のサンプル条項を例に,引渡しに関する条項の修正方法を検討します。

第4条(引渡し)
 売主は,買主に対し,個別契約に定める納入期日に,個別契約で定める納入場所において,個別契約に定める目的物(以下,「本製品」という。)を引き渡す。引渡しに必要な費用は売主の負担とする。

 具体的な検討ポイントは次のとおり。

  • 納入期日
    ―基本契約書に定めるか,発注書や注文書等で定めるか
  • 納入場所
    ―基本契約書に定めるか,発注書や注文書等で定めるか
  • 納入手続
    ―基本契約書に定めるか,発注書や注文書等で定めるか
    ―受領書等の交付の有無
  • 納入費用の負担
    ―売主負担か,買主負担か,分担か
    ―付保の要否,付保の費用負担
  • 納入遅延時/納入不能時(又はそのおそれがあるとき)の措置
    *理由・納入予定期日等の通知,善後策
    *遅延損害金の賠償

     ―損害の範囲
     ―損害発生が買主の責めに帰すべき事由による場合は?
     ―損害発生が不可抗力による場合は?

     ―損害額の定め方(契約書に具体的な損害額又は損害額の計算方法を定めるか,協議で定めるか等)
     ―具体的な損害額等を定める場合,損害賠償額の予定か,違約罰か

〔サンプル①―納入予定期日等の通知・善後策の定めや遅延損害金の定めを置く場合〕
【第4条】(納入)
1.売主は,買主に対し,発注書に定める納入期日に,発注書で定める納入場所において,発注書に定める数量の目的物(以下,「本製品」という。)を納入する。納入に必要な費用は売主の負担とする。
2.売主は,納期に所定の数量の全部又は一部を納入できない事情が生じた場合,又は,そのおそれがある場合は,直ちにその理由及び納入予定期日等を買主に通知し,両当事者は協議し,対策を講じ,実施する。
3.前二項により買主が損害を被った場合は,買主は,売主に対し,当該損害につき,本契約の契約金額の10%を限度として,賠償を請求することができる。ただし,当該損害が買主の責めに帰すべき事由がある場合は,その範囲において,売主は責任を免れる。

〔サンプル―損害賠償額の予定の定めを置く場合〕
【第4条】(納入)
1.~2.(同上)
3.前二項により買主が損害を被った場合は,買主は,売主に対し,本製品の納期の翌日から本製品を受領した日まで1日あたり本契約の契約金額の履行遅滞部分相当額の0.5%を損害額として請求することができる。ただし,当該損害が買主の責めに帰すべき事由がある場合は,その範囲において,売主は責任を免れる。

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