【逐条解説】第八章 公正取引委員会 第一節 設置,任務及び所掌事務並びに組織等(第27条―第44条)【独占禁止法】

第27条(設置・任務)

1 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第三項の規定に基づいて,第一条の目的を達成することを任務とする公正取引委員会を置く。

2 公正取引委員会は,内閣総理大臣の所轄に属する。

第27条の2(所掌事務)

 公正取引委員会は,前条第一項の任務を達成するため,次に掲げる事務をつかさどる。

一 私的独占の規制に関すること。

二 不当な取引制限の規制に関すること。

三 不公正な取引方法の規制に関すること。

四 独占的状態に係る規制に関すること。

五 所掌事務に係る国際協力に関すること。

六 前各号に掲げるもののほか,法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき,公正取引委員会に属させられた事務

第28条(職権行使の独立性)

 公正取引委員会の委員長及び委員は,独立してその職権を行う。

第29条(公正取引委員会の組織等)

 公正取引委員会は,委員長及び委員四人を以て,これを組織する。

2 委員長及び委員は,年齢が三十五年以上で,法律又は経済に関する学識経験のある者のうちから,内閣総理大臣が,両議院の同意を得て,これを任命する。

3 委員長の任免は,天皇が,これを認証する。

4 委員長及び委員は,これを官吏とする。

第30条(委員長等の任期)

 委員長及び委員の任期は,五年とする。但し,補欠の委員長及び委員の任期は,前任者の残任期間とする。

2 委員長及び委員は,再任されることができる。

3 委員長及び委員は,年齢が七十年に達したときには,その地位を退く。

4 委員長又は委員の任期が満了し,又は欠員を生じた場合において,国会の閉会又は衆議院の解散のため両議院の同意を得ることができないときは,内閣総理大臣は,前条第二項に規定する資格を有する者のうちから,委員長又は委員を任命することができる。この場合においては,任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。

第31条(委員長等の身分保障)

 委員長及び委員は,次の各号のいずれかに該当する場合を除いては,在任中,その意に反して罷免されることがない。

一 破産手続開始の決定を受けた場合

二 懲戒免官の処分を受けた場合

三 この法律の規定に違反して刑に処せられた場合

四 禁錮以上の刑に処せられた場合

五 公正取引委員会により,心身の故障のため職務を執ることができないと決定された場合

六 前条第四項の場合において,両議院の事後の承認を得られなかつたとき。

第32条(委員長等の罷免)

 前条第一号又は第三号から第六号までの場合においては,内閣総理大臣は,その委員長又は委員を罷免しなければならない。

第33条(委員長)

 委員長は,公正取引委員会の会務を総理し,公正取引委員会を代表する。

2 公正取引委員会は,あらかじめ委員のうちから,委員長が故障のある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならない。

第34条(議決方法)

 公正取引委員会は,委員長及び二人以上の委員の出席がなければ,議事を開き,議決することができない。

2 公正取引委員会の議事は,出席者の過半数を以て,これを決する。可否同数のときは,委員長の決するところによる。

3 公正取引委員会が第三十一条第五号の規定による決定をするには,前項の規定にかかわらず,本人を除く全員の一致がなければならない。

4 委員長が故障のある場合の第一項の規定の適用については,前条第二項に規定する委員長を代理する者は,委員長とみなす。

第35条(事務総局の組織)

 公正取引委員会の事務を処理させるため,公正取引委員会に事務総局を置く。

2 事務総局に事務総長を置く。

3 事務総長は,事務総局の局務を統理する。

4 事務総局に官房及び局を置く。

5 内閣府設置法第十七条第二項から第八項までの規定は,前項の官房及び局の設置,所掌事務の範囲及び内部組織について準用する。

6 第四項の規定に基づき置かれる官房及び局の数は,三以内とする。

7 事務総局の職員中には,検察官,任命の際現に弁護士たる者又は弁護士の資格を有する者を加えなければならない。

8 前項の検察官たる職員の掌る職務は,この法律の規定に違反する事件に関するものに限る。

第35条の2(事務総局の地方事務所)

 公正取引委員会の事務総局の地方機関として,所要の地に地方事務所を置く。

2 前項の地方事務所の名称,位置及び管轄区域は,政令で定める。

3 第一項の地方事務所には,所要の地にその支所を置き,地方事務所の事務を分掌させることができる。

4 前項の支所の名称,位置及び管轄区域は,内閣府令で定める。

第36条(委員長等の報酬)

 委員長及び委員の報酬は,別に定める。

2 委員長及び委員の報酬は,在任中,その意に反してこれを減額することができない。

第37条(政治活動・営利活動の禁止)

 委員長,委員及び政令で定める公正取引委員会の職員は,在任中,次の各号のいずれかに該当する行為をすることができない。

一 国会若しくは地方公共団体の議会の議員となり,又は積極的に政治運動をすること。

二 内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか,報酬のある他の職務に従事すること。

三 商業を営み,その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。

第38条(意見公表の禁止)

 委員長,委員及び公正取引委員会の職員は,事件に関する事実の有無又は法令の適用について,意見を外部に発表してはならない。但し,この法律に規定する場合又はこの法律に関する研究の結果を発表する場合は,この限りでない。

第39条(秘密漏示の禁止)

 委員長,委員及び公正取引委員会の職員並びに委員長,委員又は公正取引委員会の職員であつた者は,その職務に関して知得した事業者の秘密を他に漏し,又は窃用してはならない。

第40条(一般的な調査)

 公正取引委員会は,その職務を行うために必要があるときは,公務所,特別の法令により設立された法人,事業者若しくは事業者の団体又はこれらの職員に対し,出頭を命じ,又は必要な報告,情報若しくは資料の提出を求めることができる。

第41条(調査の嘱託)

 公正取引委員会は,その職務を行うために必要があるときは,公務所,特別の法令により設立された法人,学校,事業者,事業者の団体,学識経験ある者その他の者に対し,必要な調査を嘱託することができる。

第42条(公聴会)

 公正取引委員会は,その職務を行うために必要があるときは,公聴会を開いて一般の意見を求めることができる。

第43条(必要な事項の公表)

 公正取引委員会は,この法律の適正な運用を図るため,事業者の秘密を除いて,必要な事項を一般に公表することができる。

第43条の2(外国競争当局に対する情報提供)

 公正取引委員会は,この法律に相当する外国の法令を執行する当局(以下この条において「外国競争当局」という。)に対し,その職務(この法律に規定する公正取引委員会の職務に相当するものに限る。次項において同じ。)の遂行に資すると認める情報の提供を行うことができる。ただし,当該情報の提供を行うことが,この法律の適正な執行に支障を及ぼし,その他我が国の利益を侵害するおそれがあると認められる場合は,この限りでない。

2 公正取引委員会は,外国競争当局に対し前項に規定する情報の提供を行うに際し,次に掲げる事項を確認しなければならない。

一 当該外国競争当局が,公正取引委員会に対し,前項に規定する情報の提供に相当する情報の提供を行うことができること。

二 当該外国において,前項の規定により提供する情報のうち秘密として提供するものについて,当該外国の法令により,我が国と同じ程度の秘密の保持が担保されていること。

三 当該外国競争当局において,前項の規定により提供する情報が,その職務の遂行に資する目的以外の目的で使用されないこと。

3 第一項の規定により提供される情報については,外国における裁判所又は裁判官の行う刑事手続に使用されないよう適切な措置がとられなければならない。

第44条(国会に対する報告等)

 公正取引委員会は,内閣総理大臣を経由して,国会に対し,毎年この法律の施行の状況を報告しなければならない。

2 公正取引委員会は,内閣総理大臣を経由して国会に対し,この法律の目的を達成するために必要な事項に関し,意見を提出することができる。

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