【2020年民法改正】賃貸借③―転貸借【勉強ノート】

転貸借に関する改正

旧法 新法

【613条】(転貸の効果)
1項:賃借人が適法に賃借物を転貸したときは,転借人は,賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては,賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。

2項:前項の規定は,賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。

【613条】(転貸の効果)
1項:賃借人が適法に賃借物を転貸したときは,転借人は,賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として,賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては,賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。

2項:前項の規定は,賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。

3項:賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には,賃貸人は,賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし,その解除の当時,賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは,この限りでない。

1項

 旧法下での一般的解釈を踏まえ,転借人は,原賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として,賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う旨明文化されました(新法§613Ⅰ前段)。

 したがって,賃貸人は,転借人に対し, 転貸借の賃料が原賃貸借の賃料より高い場合であっても,原賃貸借の賃料の額を超えて請求することはできません。逆に,原賃貸借の賃料が転貸借の賃料より高くても,転貸借の賃料の額を超えて請求することはできません。

 つまり,原賃貸借の賃料と転貸借の賃料のうち,どちらか低い方の金額を請求できることになります

貸借賃料>賃貸借賃料 ⇒ 賃貸借賃料

貸借賃料<賃貸借賃料 ⇒ 賃貸借賃料

3項

  判例(大判昭和9年3月7日,最判昭和62年3月24日)に従い,賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には,賃貸人は,賃借人の債務不履行に基づく解除権を有していたときを除き,賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない旨明文化されました(新法§613Ⅲ)。

確認問題

 特になし。

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