給料ファクタリングが貸金業法2条1項・出資法5条3項の「貸付け」に該当すると判示された裁判例(最三決令和5年2月22日)

 いわゆる「給料ファクタリング」と呼ばれる下記のような取引について、最高裁が貸金業法2条1項及び出資法5条3項の「貸付け」に当たるとして、無登録で行った場合は違法になると判示されていたようですね。

①労働者は給料日前に業者に給与債権を買い取ってもらって、額面額から手数料を差し引いた残額を受け取る。

②勤務先が当該労働者に給料を支払う。

③当該労働者が支払われた給料から上記業者に返済する。

 詳細は最三決令和5年2月22日刑集77巻2号13頁をご確認いただければと思いますが、理由を次のように述べています。

 本件取引で譲渡されたのは賃金債権であるところ、労働基準法24条1項の趣旨に徴すれば、労働者が賃金の支払を受ける前に賃金債権を他に譲渡した場合においても、その支払についてはなお同項が適用され、使用者は直接労働者に対して賃金を支払わなければならず、その賃金債権の譲受人は、自ら使用者に対してその支払を求めることは許されない(最高裁昭和40年(オ)第527号同43年3月12日第三小法廷判決・民集22巻3号562頁参照)ことから、被告人は、実際には、債権を買い戻させることなどにより顧客から資金を回収するほかなかったものと認められる。
 また、顧客は、賃金債権の譲渡を使用者に知られることのないよう、債権譲渡通知の留保を希望していたものであり、使用者に対する債権譲渡通知を避けるため、事実上、自ら債権を買い戻さざるを得なかったものと認められる。
 そうすると、本件取引に基づく金銭の交付は、それが、形式的には、債権譲渡の対価としてされたものであり、また、使用者の不払の危険は被告人が負担するとされていたとしても、実質的には、被告人と顧客の二者間における、返済合意がある金銭の交付と同様の機能を有するものと認められる。
 このような事情の下では、本件取引に基づく金銭の交付は、貸金業法2条1項と出資法5条3項にいう「貸付け」に当たる。

 貸金業を営む場合、登録を受ける必要があり(貸金業法3条1項)、無登録営業は禁じられています(貸金業法11条1項)。

 登録を受けずに貸金業を営むと、10年以下の懲役または3000万円以下の罰金が科されるおそれがあります(貸金業法47条2号)。

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