【契約実務】〔新民法対応〕秘密保持契約書

秘密保持契約はどのような場面で締結されるか

 秘密保持契約は,ある契約を締結する前に,その契約を締結すべきかどうかを検討するために,当事者双方又は一方が,検討に必要な資料として,相手方に秘密情報を開示する場面で締結されます(逆に,その契約を締結することが確定的なのであれば,秘密保持契約を締結する必要性はなく,その契約の条項に秘密保持条項を設ければ足ります)。

秘密保持契約書の基本的な構成要素

 秘密保持契約書の基本的な構成要素は次のようなものではないかと思われます。

  • 頭書き
  • 第1条(秘密情報)
  • 第2条(秘密情報の取扱い)
  • 第3条(秘密情報の利用者)
  • 第4条(秘密情報の複写・複製)
  • 第5条(秘密情報に関する権利の帰属)
  • 第6条(事故時の対応)
  • 第7条(返還義務等)
  • 第8条(損害賠償等)
  • 第9条(差止め)
  • 第10条(有効期間等)
  • 第11条(協議事項)
  • 第12条(管轄)
  • サイナー等

 以下の秘密保持契約書は,経済産業省「業務提携の検討における秘密保持契約書の例」をベースに作成しています(色々変更しすぎて,跡形もなくなっていますが…)

 なお,以下の秘密保持契約書は,あくまで「ぼくのかんがえたさいきょうの秘密保持契約書」に過ぎないため,これを用いて取引等を行った場合において発生した一切の責任は負いかねますので,ご了承ください。

条項ごとのチェックポイント

※ 条項中に下線が引かれている箇所がある場合,その箇所は,2020年4月1日施行の改正民法に基づき,修正を加えた箇所です。

契約書審査前に確認しておくべき事項

  • 秘密保持契約締結の必要性の有無。
  • クライアントや依頼部署等が契約書案の返却を希望する日時。
  • 過去に同じ当事者間で同様の事業が行われたことはあるか。

頭書き

秘密保持契約書

 __________株式会社(以下,「甲」という。)と__________株式会社(以下,「乙」という。)とは,__________(以下,「本取引」という。)の可能性を検討することを目的として(以下,「本目的」という。),相互に開示される情報の取扱いについて,以下のとおり,秘密保持契約(以下,「本契約」という。)を締結する。なお,本契約において,秘密情報を開示する当事者を「開示者」,秘密情報を受領する当事者を「受領者」という。

〔情報開示側のチェックポイント〕
  • 相手方当事者は誰か,適切な者が相手方当事者に選定されているか。
  • 情報を開示する目的は何か。
〔情報受領側のチェックポイント〕
  • 相手方当事者は誰か,適切な者が相手方当事者に選定されているか。
  • 情報の開示を受ける目的は何か。

秘密情報

【サンプル①―包括的な定義】

第1条(秘密情報)
1.本契約における「秘密情報」とは,開示者が,受領者に対し,本目的のために,文書,口頭,電磁的記録媒体その他開示の方法及び媒体を問わず,また,本契約締結の前後を問わず,開示した一切の情報,本契約の存在及び内容,並びに,本取引に関する協議・交渉の存在及びその内容をいう。
2.前項の規定にかかわらず,次の各号のいずれかに該当する情報は,秘密情報には含まれない。
(1)開示された時点において,受領者がすでに了知していた情報
(2)開示された時点において,すでに公知であった情報
(3)開示された後に受領者の責めに帰すべき事由によらずに公知となった情報
(4)開示当事者に対して秘密保持義務を負わない正当な権限を有する第三者から,受領者が秘密保持義務を負うことなく,適法に取得した情報

【サンプル②―個別に秘密情報を掲げる場合】

第1条(秘密情報)
1.本契約における「秘密情報」とは,開示者が,文書,口頭,電磁的記録媒体その他開示の方法及び媒体を問わず,また,本契約締結の前後を問わず,本目的のために受領者に対して開示した以下に掲げる情報のほか,本契約の存在及び内容,並びに,本取引に関する協議・交渉の存在及びその内容をいう。
(1)甲が本契約に定める義務を負う情報
 ①●●
 ②●●
 ③その他,乙が秘密である旨明示して開示した情報
(2)乙が本契約に定める義務を負う情報
 ①▲▲
 ②▲▲
 ③その他,甲が秘密である旨明示して開示した情報
2.前項の規定にかかわらず,次の各号のいずれかに該当する情報は,秘密情報には含まれない。
(1)開示された時点において,受領者がすでに了知していた情報
(2)開示された時点において,すでに公知であった情報
(3)開示された後に受領者の責めに帰すべき事由によらずに公知となった情報
(4)開示者に対して秘密保持義務を負わない正当な権限を有する第三者から,受領者が秘密保持義務を負うことなく,適法に取得した情報

秘密情報の原則的な構成要素

  • 当事者が開示する情報
  • 秘密保持契約の存在及び内容,並びに取引に関する協議・交渉の存在及び内容

チェックポイント

〔情報開示側のチェックポイント〕
  • 情報を開示する目的を達成するために開示すべき情報は何か。
  • 秘密保持契約を締結するよりも前に開示した情報はあるか,あるとしてどのような情報を開示したか。(*1)
  • どのような方法で情報を開示するか(口頭,書面,電磁的記録媒体等)
  • 秘密とすべき情報は網羅されているか。
  • 秘密情報に個人情報が含まれていないか。
  • 秘密保持義務の除外規定に過不足はないか。(*2)
〔情報受領側のチェックポイント〕
  • 情報の開示を受ける目的を達成するために開示を受けるべき情報は何か。
  • 秘密保持契約を締結するよりも前に開示を受けた情報はあるか,あるとしてどのような情報の開示を受けたか。(*1)
  • どのような方法で情報の開示を受けるか(口頭,書面,電磁的記録媒体等)
  • 必要以上の範囲の情報が開示されていないか。
  • 秘密情報に個人情報が含まれていないか。
  • 情報管理体制との関係で,「秘密であることを明示したもの」等の限定を付す必要はないか。
  • 秘密保持義務の例外規定に過不足はないか。(*2)

(*1)秘密保持契約締結前に開示された情報がある場合,その情報にも秘密保持契約の効力を及ぼすには,主に次のような方法が考えられます。

  • 上記サンプルのように秘密情報の定義に「本契約締結の前後を問わず」という文言を加える方法
  • 契約の効力発生日を当該情報の開示時点まで遡らせる方法

(*2)秘密保持義務の除外規定としては,上記サンプルの1条2項各号の情報に加え,主に次の情報が規定される場合があります。

  • 受領者が独自の開発活動を行った結果,取得した情報
  • 開示者が同意した情報

秘密情報の取扱い

第2条(秘密情報等の取扱い)
1.受領者は,開示者の事前の書面による承諾なく,本目的以外の目的で秘密情報を使用してはならない。
2.受領者は,開示者の事前の書面による承諾なく,第三者に対して秘密情報を開示又は漏洩してはならない。
3.受領者が開示者の書面による事前の同意を得て第三者に秘密情報を開示する場合は,当該第三者との間で本契約と同等の秘密保持契約を締結し,本契約に基づく義務と同等の義務を遵守させるとともに,第三者が当該義務に違反した場合には,受領者による義務の違反として,開示者に対して直接責任を負う。
4.第2項の定めにかかわらず,受領者は,法令又は裁判所,監督官庁,金融商品取引所その他受領者を規制する権限を有する公的機関の裁判,規則若しくは命令に基づき,秘密情報の開示を求められた場合,法令に反しない範囲でその旨を開示者に通知した上で,必要最小限の範囲で秘密情報を公表し,又は開示することができる。この場合,前項は適用しない。

〔情報開示側のチェックポイント〕
  • 受領者以外の第三者への情報提供が必要となる事案か。
  • 当該第三者への情報提供について,その要件が明示されているか(事前の書面による同意を要するか等)。
  • 受領者が特定の第三者について開示者の事前の同意なく秘密情報を開示することを希望している場合,当該希望を受け入れてよいか(当該第三者は何者か,当該第三者と受領者との関係,当該第三者の役割等)。
  • 当該希望を受け入れるとして,どの範囲で秘密情報を開示するか。
  • 受領者の管理について,管理責任者の選任等を具体的に明示することが必要か,必要だとして,管理責任者の選任等について明記されているか。
〔情報受領側のチェックポイント〕
  • 情報提供を受ける目的を達成するため,第三者に情報を開示する必要があるか。
  • 開示者の事前の同意なく秘密情報を開示したい特定の第三者が存在するか。

秘密情報の利用者

第3条(秘密情報の利用者)
1.受領者は,本目的を達成するために必要最小限の範囲の役員及び従業員(以下,「役員等」という。)に対してのみ,秘密情報を開示し,又は利用させることができる。
2.前項の場合,受領者は役員等に対し,在任中であると退職後であるとを問わず,本契約に基づく義務と同等の義務を課すとともに,役員等が当該義務に違反した場合には,受領者による義務の違反として,開示者に対して直接責任を負う。

〔情報開示側のチェックポイント〕
  • 受領者の役員,従業員のうち,どの範囲の者まで情報の開示を認めるか。
  • 受領者の役員,従業員に情報が開示されるにあたり,当該役員等に対し秘密保持義務を負わせる措置がとられているか。
  • 受領者の役員,従業員に情報が開示されるにあたり,受領者内部における情報管理体制に問題はないか。
  • 受領者の役員,従業員に対し,その退職後も秘密保持義務を課しているか。
〔情報受領側のチェックポイント〕
  • 情報の開示を受ける目的を達成するためには,受領者の役員,従業員のうちどの範囲の者まで情報開示を受ける必要があるか。

秘密情報の複写・複製

第4条(秘密情報の複写・複製)
 受領者は,本目的を達成するために必要最小限の範囲においてのみ,秘密情報を複写又は複製(文書,電磁的記録媒体,光学記録媒体及びフィルムその他一切の記憶媒体への記録を含む。)することができる。なお,複写又は複製により生じた情報も,秘密情報に含まれる。

〔情報開示側のチェックポイント〕
  • 受領者に秘密情報の複写・複製を許してよいか。
  • どのような場合に秘密情報の複写・複製を許すか。
  • 受領者の複写物・複製物の管理体制に問題ないか。
  • 受領者による秘密情報の改変を許してよいか。
〔情報受領側のチェックポイント〕
  • 秘密情報の開示を受ける目的を達成する上で,秘密情報を複写・複製する必要があるか。
  • どのようにして複写物・複製物を管理するか。
  • 秘密情報の開示を受ける目的を達成する上で,秘密情報を改変することが必要か。

秘密情報に関する権利の帰属

第5条(秘密情報に関する権利の帰属)
 甲及び乙は,本契約に基づき開示者から受領者に開示された秘密情報に関する権利はすべて開示者に帰属するものとし,秘密情報に関する特許権,商標権,意匠権,著作権その他の知的財産権及びこれらの実施権又は使用権を開示者から取得するものではないことを確認する。

発明等の帰属

第●条(発明等の帰属)
 受領者は,秘密情報に基づき発明,考案,意匠及び著作物の創作をなしたときは,速やかに開示者に通知し,その帰属及び取扱いについて協議する。

事故時の対応

第6条(事故時の対応)
 秘密情報の漏洩,紛失,盗難,目的外使用その他の事故が発生した場合,又はそのおそれがある場合,受領者は直ちに開示者にその旨を書面で報告するとともに,開示者の指示に従い,適切な処置を講じて損害の発生及び拡大防止に努めなければならない。

返還義務等

第7条(返還義務等)
1.
受領者は,本契約の有効期間中であるか,本契約終了後であるかを問わず,開示者からの書面による請求があった場合には,自らの選択及び費用負担により,受領者又は受領者より開示を受けた第三者が保持する秘密情報を速やかに返還,破棄,消去又は破壊(以下,「返還等」という。)する。
2.受領者は,開示者が要請した場合は,速やかにすべての秘密情報が返還等されたことを証明する書面を開示者に対して提出する。

〔情報開示側のチェックポイント〕
  • 開示した情報の回収はどのように行うか。
  • 情報の回収の確認はどのように行うか。
〔情報受領側のチェックポイント〕
  • 情報の返却・破棄が可能な体制が整備されているか。

損害賠償等

第8条(損害賠償等)
 本契約に違反した受領者は,当該違反に起因又は関連して開示者に損害を生ぜしめた場合,その損害(合理的な範囲の弁護士費用等の諸経費を含む。)を賠償する。

〔情報開示側のチェックポイント〕
  • 情報が漏洩等した場合に想定される損害としてどのようなものが考えられ,どの程度の損害が発生すると予想されるか。
  • 違約金条項を設ける必要があるか。
  • 違約金条項を設けた場合,違約金の金額は適正か。
〔情報受領側のチェックポイント〕
  • 損害賠償の範囲は適正か。
  • 違約金条項が設けられている場合,違約金の金額が不相当ではないか。

差止め

第9条(差止め)
 甲及び乙は,相手方が,本契約に違反し,若しくは違反するおそれがある場合には,その差止め,若しくはその差止めに係る仮の地位を定める仮処分を申し立てることができる。

有効期限等

第10条(有効期間等)
1.本契約の有効期間は,本契約の締結日から起算し,満●年間とする。期間満了後の●ヵ月前までに甲又は乙のいずれからも相手方に対する書面の通知がなければ,本契約は同一条件でさらに●年間継続するものとし,以後も同様とする。
2.前項の定めにかかわらず,第2条(秘密情報の取扱い),第3条(秘密情報の利用者)第2項,第4条(秘密情報の複写・複製)後段,第6条(事故時の対応),第7条(返還義務等)及び第9条(差止め)の規定は秘密情報がすべて返還等されるまで,第5条(秘密情報に関する権利の帰属),第11条(協議事項)及び第12条(管轄)の規定は本契約が終了した後も期間の制限なく,第8条(損害賠償等)の規定は法令の定めによって権利が消滅するまで,それぞれ効力を有する。

存続条項

 本条2項のように,秘密保持契約の有効期間が満了した後も効力を残存させる条項を定めた条項のことを「存続条項」や「残存条項」等といいます。

 次に掲げる事項に関する条項は,存続条項によって,秘密保持契約の有効期間満了後も効力が残存させられることが多いです。

  • 返還・破棄
  • 損害賠償
  • 差止め
  • 誠実協議
  • 紛争解決

チェックポイント

〔情報開示側のチェックポイント〕
  • 情報を開示する目的を達成するために必要な契約期間はどれくらいか。
  • 契約の更新は必要か。
  • 契約の更新を認める場合の要件をどうするか(自動更新か否か,更新後の契約期間等)。
  • 契約終了後の秘密保持義務を課す必要があるか,あるとしてどの程度の期間秘密保持義務を課すか。
〔情報受領側のチェックポイント〕
  • 情報の開示を受ける目的を達成するために必要な契約期間はどれくらいか。
  • 契約の更新は必要か。
  • 契約の更新を認める場合の要件をどうするか(自動更新か否か,更新後の契約期間等)。
  • 契約終了後,秘密保持義務を課される期間の長さが不相当ではないか。

協議事項

第11条(協議事項)
1.本契約に定めのない事項について又は本契約に疑義が生じた場合は,信義誠実の原則に則り,誠意をもって協議する。
2.前項の協議を行う場合であって,相手方の求めがあるときは,甲及び乙は,当該協議を行う旨の合意を書面又は電磁的記録にて行う。

協議合意による時効完成猶予(2項)

 2020年4月1日施行の改正民法では,権利についての協議を行う旨の書面又は電磁的記録による合意があった場合には,合意における期間の定めの有無及び当該定めがある場合の期間の長さに応じて,一定期間,時効の完成を猶予する旨の規定が新設されました(新法§151)

 そこで,当該改正に合わせ,本条2項を設けました。

 当該改正の詳細を知りたい方は,以下のページをご覧ください。

管轄

サンプル①

第12条(管轄)
 本契約又は本契約に関連して甲乙間に生じる一切の紛争は,●●地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

サンプル②

第12条(管轄)
 本契約又は本契約に関連して甲乙間に生じる一切の紛争は,被告の本社所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

サイナー等

 本契約締結の証として,本書を2通作成し,甲及び乙は記名・押印の上,各自1通を保有する。

____年__月__日

  東京都XX区XX X丁目X番地X
甲 __________株式会社
  代表取締役社長 XX XX

  東京都YY区YY Y丁目Y番地Y
乙 __________株式会社
  代表取締役社長 YY YY

  • いつを契約締結日とする予定か。
  • サイナーの記載に誤りはないか。

ひな型

秘密保持契約書

 __________株式会社(以下,「甲」という。)と__________株式会社(以下,「乙」という。)とは,__________(以下,「本取引」という。)の可能性を検討することを目的として(以下,「本目的」という。),相互に開示される情報の取扱いについて,以下のとおり,秘密保持契約(以下,「本契約」という。)を締結する。なお,本契約において,秘密情報を開示する当事者を「開示者」,秘密情報を受領する当事者を「受領者」という。

第1条(秘密情報)
1.本契約における「秘密情報」とは,開示者が,受領者に対し,本目的のために,文書,口頭,電磁的記録媒体その他開示の方法及び媒体を問わず,また,本契約締結の前後を問わず,開示した一切の情報,本契約の存在及び内容,並びに,本取引に関する協議・交渉の存在及びその内容をいう。
2.前項の規定にかかわらず,次の各号のいずれかに該当する情報は,秘密情報には含まれない。
(1)開示された時点において,受領者がすでに了知していた情報
(2)開示された時点において,すでに公知であった情報
(3)開示された後に受領者の責めに帰すべき事由によらずに公知となった情報
(4)開示当事者に対して秘密保持義務を負わない正当な権限を有する第三者から,受領者が秘密保持義務を負うことなく,適法に取得した情報

第2条(秘密情報等の取扱い)
1.受領者は,開示者の事前の書面による承諾なく,本目的以外の目的で秘密情報を使用してはならない。
2.受領者は,開示者の事前の書面による承諾なく,第三者に対して秘密情報を開示又は漏洩してはならない。
3.受領者が開示者の書面による事前の同意を得て第三者に秘密情報を開示する場合は,当該第三者との間で本契約と同等の秘密保持契約を締結し,本契約に基づく義務と同等の義務を遵守させるとともに,第三者が当該義務に違反した場合には,受領者による義務の違反として,開示者に対して直接責任を負う。
4.第2項の定めにかかわらず,受領者は,法令又は裁判所,監督官庁,金融商品取引所その他受領者を規制する権限を有する公的機関の裁判,規則若しくは命令に基づき,秘密情報の開示を求められた場合,法令に反しない範囲でその旨を開示者に通知した上で,必要最小限の範囲で秘密情報を公表し,又は開示することができる。この場合,前項は適用しない。

第3条(秘密情報の利用者)
1.受領者は,本目的を達成するために必要最小限の範囲の役員及び従業員(以下,「役員等」という。)に対してのみ,秘密情報を開示し,又は利用させることができる。
2.前項の場合,受領者は役員等に対し,在任中であると退職後であるとを問わず,本契約に基づく義務と同等の義務を課すとともに,役員等が当該義務に違反した場合には,受領者による義務の違反として,開示者に対して直接責任を負う。

第4条(秘密情報の複写・複製)
 受領者は,本目的を達成するために必要最小限の範囲においてのみ,秘密情報を複写又は複製(文書,電磁的記録媒体,光学記録媒体及びフィルムその他一切の記憶媒体への記録を含む。)することができる。なお,複写又は複製により生じた情報も,秘密情報に含まれる。

第5条(秘密情報に関する権利の帰属)
 甲及び乙は,本契約に基づき開示者から受領者に開示された秘密情報に関する権利はすべて開示者に帰属するものとし,秘密情報に関する特許権,商標権,意匠権,著作権その他の知的財産権及びこれらの実施権又は使用権を開示者から取得するものではないことを確認する。

第6条(事故時の対応)
 秘密情報の漏洩,紛失,盗難,目的外使用その他の事故が発生した場合,又はそのおそれがある場合,受領者は直ちに開示者にその旨を書面で報告するとともに,開示者の指示に従い,適切な処置を講じて損害の発生及び拡大防止に努めなければならない。

第7条(返還義務等)
1.
受領者は,本契約の有効期間中であるか,本契約終了後であるかを問わず,開示者からの書面による請求があった場合には,自らの選択及び費用負担により,受領者又は受領者より開示を受けた第三者が保持する秘密情報を速やかに返還,破棄,消去又は破壊(以下,「返還等」という。)する。
2.受領者は,開示者が要請した場合は,速やかにすべての秘密情報が返還等されたことを証明する書面を開示者に対して提出する。

第8条(損害賠償等)
 本契約に違反した受領者は,当該違反に起因又は関連して開示者に損害を生ぜしめた場合,その損害(合理的な範囲の弁護士費用等の諸経費を含む。)を賠償する。

第9条(差止め)
 甲及び乙は,相手方が,本契約に違反し,若しくは違反するおそれがある場合には,その差止め,若しくはその差止めに係る仮の地位を定める仮処分を申し立てることができる。

第10条(有効期間等)
1.本契約の有効期間は,本契約の締結日から起算し,満●年間とする。期間満了後の●ヵ月前までに甲又は乙のいずれからも相手方に対する書面の通知がなければ,本契約は同一条件でさらに●年間継続するものとし,以後も同様とする。
2.前項の定めにかかわらず,第2条(秘密情報の取扱い),第3条(秘密情報の利用者)第2項,第4条(秘密情報の複写・複製)後段,第6条(事故時の対応),第7条(返還義務等)及び第9条(差止め)の規定は秘密情報がすべて返還等されるまで,第5条(秘密情報に関する権利の帰属),第11条(協議事項)及び第12条(管轄)の規定は本契約が終了した後も期間の制限なく,第8条(損害賠償等)の規定は法令の定めによって権利が消滅するまで,それぞれ効力を有する。

第11条(協議事項)
1.本契約に定めのない事項について又は本契約に疑義が生じた場合は,信義誠実の原則に則り,誠意をもって協議する。
2.前項の協議を行う場合であって,相手方の求めがあるときは,甲及び乙は,当該協議を行う旨の合意を書面又は電磁的記録にて行う。

第12条(管轄)
 本契約又は本契約に関連して甲乙間に生じる一切の紛争は,●●地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

 本契約締結の証として,本書を2通作成し,甲及び乙は記名・押印の上,各自1通を保有する。

____年__月__日

  東京都XX区XX X丁目X番地X
甲 __________株式会社
  代表取締役社長 XX XX

  東京都YY区YY Y丁目Y番地Y
乙 __________株式会社
  代表取締役社長 YY YY

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