【2020年民法改正】担保責任と当事者の帰責事由【横断的整理】

 本稿では,担保責任と当事者の帰責事由の関係について,新民法の条文上どうなっているのかを横断的に整理してみます(なお,以下では,説明の単純化のために売買契約における担保責任を前提として説明します)。

 まず,新民法下において法定されている担保責任追及手段を復習しましょう。

  • 損害賠償請求(新法§564)
  • 履行追完請求(新法§562)
  • 代金減額請求(新法§563)
  • 契約解除(新法§564)

 これら4つですね。

 では,次にこれらのうち,契約不適合につき売主に帰責事由がないことにより担保責任を追及することができなくなるものはどれか,また,契約不適合につき買主に帰責事由があることにより担保責任を追及することができなくなるものはどれかを整理してみましょう。

 下表のようになります。

  売主の帰責事由の不存在による責任追及不可 買主の帰責事由の存在による責任追及不可
損害賠償請求
(§564・§415Ⅰ但書)
×
履行追完請求 ×
(§562Ⅱ)
代金減額請求 ×
(§563Ⅲ)
契約解除 ×
(§564・§543)
〇=責任追及不可 ×=責任追及可能

 損害賠償請求については,売主の帰責事由の不存在によって追及不可になりますが,それ以外のものについては,買主の帰責事由の存在によって追及不可になっています。

 損害賠償請求については,旧民法と変わりはありませんが,それ以外のものについては,旧民法の定めと異なっているので,注意が必要です。

 履行追完請求と代金減額請求について,売主の帰責事由の不存在によっては売主が免責されないのは,契約不適合につき債務者に帰責事由があろうとなかろうと,契約に拘束されることを選んだ以上は,債務を最後まできちんと履行すべきとの契約責任説の立場から説明されるのだろうと思います。

 また,契約解除について,売主の帰責事由の不存在によっては解除が制限されない理由としては,①不可抗力によって契約不適合が生じた場合も契約を解除できないのは不都合であること,②契約解除は,契約不適合を生じせしめた売主に制裁を課す制度ではなく,債務の完全な履行を得られない買主を契約の拘束力から解放してあげる制度であるため,契約解除が売主の帰責事由の不存在によって制限される必然性がないことなどが挙げられています。

 ただし,例外的に,公平の見地から,契約不適合につき買主に帰責事由がある場合にまで,買主に履行追完請求や代金減額請求,契約解除を認めるのは妥当でないとして,その場合は,これらの責任追及手段が制限されることになります。

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