【契約実務】〔新民法対応〕売買基本契約書

 売買基本契約書のひな型(どちらかというと買主側に有利なひな型)を作成してみました。
 ひな型中の「[修正方法]」と記載されている箇所をクリック又はタップすると,その条項の修正例を参照することができます。また,「[解説]」と記載されている箇所をクリック又はタップすると,その条項の解説を参照することができます。
 なお,以下の売買基本契約書は,あくまで「ぼくのかんがえたさいきょうの売買基本契約書」に過ぎず,これを用いて取引等を行った場合において発生した一切の責任は負いかねますので,ご了承ください。

※ 条項中に下線が引かれている箇所がある場合,その箇所は,2020年4月1日施行の改正民法に基づき,修正を加えた箇所です。

売買基本契約書

 A株式会社(以下,「買主」という。)とB株式会社(以下,「売主」という。)は,両当事者間における別紙に定める製品(以下,「本製品」という。)に関する売買取引につき,その基本的事項を定めるため,以下のとおり,売買基本契約(以下,「本契約」という。)を締結する。

第1条(適用範囲及び適用関係)
1.本契約は,本契約に基づく個々の契約(以下,「個別契約」という。)のすべてに適用される。
2.個別契約において本契約と異なる定めをした場合には,個別契約が本契約に優先して適用される。

第2条(個別契約の内容)
 個別契約には,本製品の発注日,仕様,数量,単価,注文合計金額,支払条件,支払期日,納入場所,納入期日その他の売買取引に必要な事項を定める。

第3条(個別契約の成立) [修正方法]
1.個別契約は,前条の内容を記載した買主所定の注文書を買主から売主に送付し,売主が売主所定の注文請書を買主に送付して,当該注文請書が買主に到達した時に成立する。ただし,売主が買主から注文書を受領してから●営業日以内に買主に対して承諾しない旨の意思表示をしないときは,個別契約は成立したものとみなす。
2.前項の定めにかかわらず,買主は,個別契約が成立するまでの間,売主に対して書面で通知することにより,注文書による個別契約の申込みの意思表示を撤回することができる。

第4条(納入) [修正方法](5/11公開)
 売主は,買主に対し,個別契約に定める納入期日に,個別契約で定める納入場所において,本製品を納入する。納入に必要な費用は売主の負担とする。

第5条(検収)
1.買主は,売主から本製品の引渡しを受けたときは,両当事者間で別途定める基準及び方法 によって,引渡しから●営業日以内に受入検査を行い,当該受入検査に合格したものを受領し(以下,「本検収」という。),不合格となったものがある場合には,売主に対し,速やかにその旨を通知する。本製品の引渡し後●営業日以内に当該通知が売主に到着しない場合には,当該本製品は,検収に合格したものとみなす。
2.本検収の結果,不合格品が生じた場合には,売主は,買主の要求に従い,売主の費用負担で当該不合格品を引き取り,第9条(担保責任)第1項第1号に定める履行の追完又は当該不合格品の代金を減額する。
3.本検収の結果,本製品の数量超過が判明した場合は,売主は,売主の費用負担で超過分を引き取らなければならない。

第6条(所有権) [修正方法]
 本製品の所有権は,買主への本製品の引渡しがあった時に売主から買主に移転する。

第7条(危険負担) [修正方法]
 本製品について,本検収を行う前に滅失,損傷その他の損害(以下,「滅失等」という。)が生じた場合には,当該滅失等は,それが買主の責めに帰すべき事由によって生じたときを除き,売主の負担とする。ただし,第11条(不可抗力)に定める場合には,同条に定めるところによる。

第8条(代金の支払)
 買主は,売主に対して,本製品の代金を,個別契約に定める金額,時期及び方法により支払う。

第9条(担保責任) [修正方法]
1.買主は,本製品がその種類,品質又は数量に関して本契約又は個別契約の内容に適合せず, かつ,本検収によっては当該不適合を発見することができなかった場合には,売主に対し,本製品の修補,代替物若しくは不足分の引渡し(以下,あわせて「履行の追完」という。)若しくは代金の減額のうちから,1つ又は複数の手段を選択し,請求することができる。なお,買主は,売主に対して代金の減額を請求する場合には,事前に相当の期間を定めて履行の追完の催告をすることを要しない。
2.前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものである場合には,買主は,同項に基づく履行の追完及び代金の減額を請求することができない。
3.第1項の規定は,買主の売主に対する損害賠償請求及び契約の解除を妨げない。
4.買主は,第1項所定の不適合を発見した場合は,当該不適合を発見した日から1年以内にその旨を売主に対し書面により通知しなければ,当該不適合を理由として,前三項に定める履行の追完請求,代金減額請求,損害賠償請求及び契約の解除をすることができない(数量又は権利の不適合の場合を除く。)。
5.本契約においては,商法第526条及び民法第562条第1項但書は適用しない。

第10条(契約の解除及び期限の利益の喪失) [修正方法](5/12公開)
1.当事者は,相手方が次の各号のいずれかに該当する場合には,相手方の責めに帰すべき事由の有無にかかわらず,何らの催告を要せず,直ちに本契約又は個別契約を解除することができる。この場合,解除者が相手方に対して損害の賠償を請求することを妨げない。また,相手方の解除者に対する債務は,何らの催告を要することなく,直ちに期限の利益を喪失する。
 ⑴本契約又は個別契約に違反した場合において,当事者が●日以上の期間を定めて相手方にその解消を催告したにもかかわらず,その期間内に解消されないとき。
 ⑵債務の全部又は重要な一部の履行が不能であるとき。
 ⑶支払不能又は支払停止の状態に陥ったとき。
 ⑷自ら振り出し若しくは引き受けた手形若しくは小切手の不渡り又は手形交換所若しくは電子債権記録機関による取引停止処分があったとき。
 ⑸強制執行,仮差押え,仮処分,若しくは競売の申立て,又は公租公課の滞納処分を受けたとき。
 ⑹破産手続開始,再生手続開始,更生手続開始,特別清算手続開始の申立てを行ったとき若しくは申立てを受けたとき又は任意整理の表明を行ったとき。
 ⑺監督官庁から営業の停止,許可の取消し等の処分を受けたとき。
 ⑻解散,会社分割,事業譲渡又は合併の決議をしたとき。
 ⑼資産又は信用状態に重大な変化が生じ,本契約又は個別契約に基づく債務の履行が困難になるおそれがあると認められるとき。
 ⑽当事者間の信頼関係が著しく損なわれたとき。
 ⑾買主の責めに帰すべき事由によらずに第7条(危険負担)第1項に規定する滅失等が生じ,これにより売主がその債務を履行することができなくなったとき。
 ⑿前各号に準じる事由が発生したとき。
2.前項各号に掲げる事由の発生が,解除をしようとする当事者の責めに帰すべき事由による場合には,当事者は,前項の規定による本契約又は個別契約の解除をすることができない。

第11条(不可抗力) [修正方法]
1.天災,戦争,法令の変更,その他不可抗力事由が生じたことにより,本契約若しくは個別契約に定める債務の履行が不能若しくは困難になった場合又はそのおそれが生じた場合,債務者は速やかにその旨を債権者に通知する。
2.前項に定める事由により,本契約又は個別契約に基づく債務の全部若しくは一部を履行することができなかった場合,債務者は当該不履行について責任を負わず,当事者は,何らの催告を要せず,直ちに本契約及び個別契約を解除することができる。なお,当該解除に伴い,損害賠償債務その他一切の責任を負わない (民法第419条第3項に定める場合を除く。) 。

第12条(反社会的勢力の排除) [解説]
1.当事者は,相手方に対し,本契約締結時,次の各号のいずれにも該当しないことを表明し保証する。また,将来にわたって次の各号のいずれにも該当しないことを確約する。
 ⑴自らが暴力団,暴力団員,暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者,暴力団準構成員,暴力団関係企業又は団体,総会屋等,社会運動標榜ゴロ,特殊知能暴力集団等,その他これらに準ずる者(以下,あわせて「反社会的勢力」という。)であること。
 ⑵自ら並びにその親会社,子会社及び関連会社の取締役,監査役,執行役その他これらに準ずる者(以下,あわせて「役員等」という。)が反社会的勢力であること。
 ⑶反社会的勢力と次の関係を有すること。
  ①反社会的勢力が経営を支配していると認められる関係
  ②反社会的勢力が経営に実質的に関与していると認められる関係
  ③自ら若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもって反社会的勢力を利用する関係
  ④反社会的勢力に対して資金等を提供し,若しくは便宜を供与するなど暴力団の維持,運営に協力し,又は関与する関係
  ⑤反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係
  ⑥その他前①から⑤までに準ずる関係
 ⑷反社会的勢力に対し,自らの名義を貸すこと。
2.当事者は,自ら又は役員等が,第三者を利用して次の各号のいずれの行為も行わないことを確約する。
 ⑴暴力的な要求行為
 ⑵法的な責任を超えた不当な要求行為
 ⑶取引に関して,脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
 ⑷風説を流布し,若しくは偽計若しくは威力を用いて,相手方の信用を棄損し,又は相手方の業務を妨害する行為
 ⑸その他前各号に準ずる行為
3.当事者は,相手方が,前二項の規定に違反した場合,何らの催告を要せず,直ちに本契約及び個別契約を解除することができる。
4.前項の規定に基づき解除をした当事者は,相手方に対し,当該解除により生じた一切の損害(合理的な範囲の弁護士費用を含む。)の賠償を請求することができる。
5.第3項の規定に基づき解除をされた当事者は,相手方に対し,当該解除により生じた一切の損害の賠償を請求することができない。

第13条(損害賠償責任) [修正方法]
 当事者は,相手方が本契約又は個別契約に違反したことにより損害(合理的な範囲の弁護士費用を含む。)を被った場合は,当該損害の賠償を相手方に請求することができる。

第14条(譲渡制限) [修正方法]
1.当事者は,あらかじめ相手方の書面による承諾を得ない限り,本契約又は個別契約に基づく契約上の地位並びに権利及び義務の全部又は一部を第三者に譲渡し若しくは引き受けさせ,又は担保に供してはならない。ただし,本契約又は個別契約に基づく権利については,あらかじめ当該第三者に対して本項に定める譲渡制限特約の存在及び内容を書面により通知し,かつ,その書面の原本証明付写しを相手方に交付した場合は,この限りでない。
2.当事者が前項に違反した場合は,相手方は,直ちに本契約及び個別契約を解除することができる。

第15条(秘密保持)
1.本契約又は個別契約により相手方(以下,「開示者」という。)の業務上及び技術上の秘密(以下,「秘密情報」という。)を知った当事者(以下,「受領者」という。)は,開示者の事前の書面による承諾なしに第三者に開示又は漏洩してはならず,本契約又は個別契約の履行以外の目的で利用してはならない。ただし,次の各号のいずれかに該当する情報については,この限りでない。
 ⑴開示者から開示された時点において,受領者がすでに了知していた情報
 ⑵開示者から開示された時点において,すでに公知であった情報
 ⑶開示者から開示された後に受領者の責めに帰すべき事由によらずに公知となった情報
 ⑷開示者に対して秘密保持義務を負わない正当な権限を有する第三者から,受領者が秘密保持義務を負うことなく,適法に取得した情報
 ⑸開示者から開示された情報によらずに自己が独自に開発した情報
2.受領者が開示者の書面による事前の同意を得て第三者に秘密情報を開示する場合は,当該第三者との間で本契約と同等の秘密保持契約を締結し,本契約に基づく義務と同等の義務を遵守させるとともに,第三者が当該義務に違反した場合には,受領者による義務の違反として,開示者に対して直接責任を負う。
3.第1項の定めにかかわらず,受領者は,法令又は裁判所,監督官庁,金融商品取引所その他受領者を規制する権限を有する公的機関の裁判,規則若しくは命令に基づき,秘密情報の開示を求められた場合,法令に反しない範囲でその旨を開示者に通知した上で,必要最小限の範囲で秘密情報を公表し,又は開示することができる。この場合,前項は適用しない。

第16条(有効期間等)
1.本契約の有効期間は,本契約締結日から●年●月●日までとする。ただし,期間満了の●か月前までに当事者のいずれからも本契約を終了させる旨の申入れがない場合には,本契約は従前と同一の条件で●年間更新されるものとし,以後も同様とする。
2.前項の定めにかかわらず,第9条(担保責任),第13条(損害賠償責任),第14条(譲渡制限),第15条(秘密保持),第17条(変更),第18条(契約終了後の措置),第19条(協議事項)及び第20条(管轄)までの各規定はなお有効に存続する。

第17条(変更)
 両当事者は,書面で合意することにより,本契約又は個別契約を変更することができる。

第18条(契約終了後の措置)
 本契約が第16条(有効期間等)に定める有効期間の満了により終了した場合であっても,履行が完了していない個別契約が存在するときは,当該個別契約との関係においては,本契約は,当該個別契約の履行が完了するまではなお有効に存続する。

第19条(協議事項) [修正方法]
1.本契約又は個別契約について定めのない事項若しくは解釈上の疑義が生じた場合は,信義誠実の原則に則り,誠意をもって協議する。
2.前項の協議を行う場合であって,当事者の一方から求めがあったときは,両当事者は,当該協議を行う旨の合意を書面又は電磁的記録により行う。

第20条(合意管轄) [修正方法]
 本契約又は本契約に関連して生じる一切の紛争は,●●地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

 本契約締結の証として,本書を2通作成し,買主及び売主は記名・押印の上,各自1通を保有する。

20●年●月●日

   東京都XX区XX X丁目X番地X
買主 __________株式会社
    代表取締役社長 XX XX

   東京都YY区YY Y丁目Y番地Y
売主 __________株式会社
   代表取締役社長 YY YY

━・━・━・━・━・━ 改ページ ━・━・━・━・━・━

別紙

(省略)

その他設けることが考えられる条項

  • 品質保証に関する条項
  • 支給品に関する条項
  • 貸与品に関する条項
  • 相殺に関する条項
  • クレームに関する条項
  • 製造物責任に関する条項
  • 知的財産権に関する条項
  • 再委託に関する条項
  • 保証に関する条項

● 参考文献
滝琢磨=菅野邑斗「改正民法対応 はじめてでもわかる 売買契約書」(第一法規株式会社・2019年)
滝琢磨「契約類型別 債権法改正に伴う契約書レビューの実務」(商事法務・2019年)
滝川宜信「取引基本契約書の作成と審査の実務〔第6版〕」(民事法研究会・2019年)

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